攻撃的3バックとは?メリット・デメリット【初心者向け解説】
この記事では、サッカーの戦術の一つである「攻撃的3バック」について、初心者の方にもわかりやすく説明します。
サッカーでは、選手の配置や役割を示すフォーメーションが重要です。フォーメーションによって、チームの戦術や試合の進め方が大きく変わります。今回ご紹介する「攻撃的3バック」は、最近注目されている戦術の一つです。
「3バック」というのは、ディフェンダーが3人いる配置のことを指します。これに「攻撃的」という要素が加わると、守備だけでなく積極的に攻撃にも参加する戦術、または、両サイド際に位置する選手が、攻撃的な位置取りや攻撃的な選手を配置する戦術となります。この記事では、この「攻撃的3バック」の基本的な構造や特徴、メリットとデメリットなどを詳しく解説します。
サッカーに詳しくない方でも理解しやすいように、できるだけわかりやすく書いていますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
基本情報
それでは、まずは「攻撃的3バック」の基本情報について説明します。この戦術を理解するために、まずは「フォーメーション」と「3バック」の基本から見ていきましょう。
フォーメーションとは
フォーメーションとは、サッカーの試合において選手たちがどの位置に配置されるかを示すものです。フォーメーションはチームの戦術や試合運びに大きく影響します。例えば、守備を重視するフォーメーションもあれば、攻撃を重視するフォーメーションもあります。よく使われるフォーメーションには、「4-4-2」や「4-3-3」などがあります。これらの数字は、それぞれディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードの人数を示しています。
「3バック」とは
「3バック」とは、ディフェンダーを3人配置するフォーメーションのことです。一般的に、3バックは以下のような形になります:
DF DF DF
これに対して、よく使われる「4バック」ではディフェンダーが4人配置されます:
DF DF DF DF
3バックは、ディフェンダーが少ない分、他のポジションに多くの選手を配置できるため、一見攻撃的ですが、ディフェンダー以外の選手が守りに下がってくると、実質5バックのようになり守備的にプレーすることにもなります。
「攻撃的3バック」の基本構造
「攻撃的3バック」は、3人のディフェンダーが守備だけでなく積極的に攻撃にも参加したり、サイドに位置するウイングバック(WB)の選手が攻撃的にプレーしたり、攻撃的な選手を配置するフォーメーションです。例えば、以下のような基本構造を持ちます:
GK
DF DF DF
WB MF MF WB
AMF AMF
FW
- DF(ディフェンダー):基本的な守備の役割を果たしますが、ボールを奪った後は前線にボールをつなぐ役割も担います。
- WB(ウイングバック):サイドラインに沿って上下動し、攻撃と守備の両方に貢献します。
- MF(ミッドフィルダー):中盤でボールをコントロールし、攻撃の起点となります。
- AMF(攻撃的ミッドフィルダー):主に攻撃に集中し、ゴールチャンスを作り出します。
- FW(フォワード):得点を狙うポジションです。
攻撃的3バックの特徴
「攻撃的3バック」は、通常の3バックフォーメーションに攻撃的な要素を加えた戦術です。ここでは、このフォーメーションの特徴について詳しく見ていきましょう。
選手の配置と役割
ディフェンダー(DF):
- 3人のディフェンダーが中央を守ります。通常、左右の2人はサイドバックような役割も果たし、中盤や前線へのサポートを行います。
- 中央のディフェンダーは、守備の要として機能し、相手の攻撃を食い止めます。
ウイングバック(WB):
- ウイングバックはサイドに位置し、攻守両面で活躍します。攻撃時には前線に上がってクロスを上げたり、シュートを狙ったりします。
- 守備時にはサイドライン沿いを駆け上がり、相手のウィンガーを抑える役割を担います。(攻撃的3バックでは、やや、守備よりも攻撃に重きを置きます。)
ミッドフィルダー(MF):
- 中盤でボールを支配し、攻撃の起点となります。攻撃時にはウイングバックと連携してサイドからの攻撃を展開します。
- 守備時には中盤で相手の攻撃を食い止め、ボール奪取に努めます。
攻撃的ミッドフィルダー(AMF):
- 前線に位置し、主に攻撃を担当します。チャンスメーカーとしてゴール前でのパスやドリブルで相手ディフェンスを崩します。
- ゴールチャンスがあれば積極的にシュートを狙います。
フォワード(FW):
- 得点を狙うポジションです。相手ゴール前でボールを受け、シュートを決める役割を担います。
- また、前線でのプレスや相手ディフェンダーの注意を引く役割も重要です。
攻撃的3バックの戦術的意図
「攻撃的3バック」の戦術的意図は、守備を維持しながらも積極的に攻撃を仕掛けることにあります。このフォーメーションでは、以下のような戦術的な意図が見られます。
攻撃時の特徴:
- ウイングバックが高い位置まで上がり、サイドからの攻撃を強化します。これにより、相手の守備を広げることができます。
- 中盤のミッドフィルダーがボールを支配し、攻撃の起点となります。攻撃的ミッドフィルダーやフォワードとの連携で多彩な攻撃パターンを展開します。
- ディフェンダーも攻撃に参加し、数的優位を作り出すことができます。
守備時の特徴:
- ウイングバックが素早く守備に戻り、サイドライン沿いを守ります。もしくは前線でボールを奪うためにプレスに行きます。
- 中盤のミッドフィルダーが守備に参加し、相手の攻撃を食い止めます。
- 3人のディフェンダーが中央を堅固に守り、相手の中央突破を防ぎます。
攻撃的3バックのメリット
「攻撃的3バック」は、他のフォーメーションに比べていくつかの優れた点があります。ここでは、このフォーメーションの主なメリットについて詳しく見ていきましょう。
攻撃力の強化
サイドからの攻撃の強化:
ウイングバックが高い位置まで上がることで、サイドからの攻撃を強化できます。これにより、相手の守備を広げてスペースを作り出し、クロスやドリブルでゴールチャンスを増やすことができます。
前線の人数を増やせる:
ウイングバックやミッドフィルダーが積極的に攻撃に参加するため、前線の人数を増やせます。これにより、攻撃時に相手の守備陣に対して数的優位を作り出しやすくなります。
中盤の支配力
ボール保持率の向上:
中盤に多くの選手を配置することで、ボール保持率を高めることができます。ミッドフィルダーが中盤でボールを支配し、攻撃の起点となります。これにより、試合の主導権を握りやすくなります。
パスコースの増加:
ミッドフィルダーとウイングバックの連携により、パスコースが増えます。多くの選手が連動して動くことで、ボールを効果的に動かし、相手の守備を崩すことができます。
幅広い攻撃オプション
多彩な攻撃パターン:
「攻撃的3バック」は、サイドからのクロス、中央突破、ロングシュートなど、多彩な攻撃パターンを持っています。これにより、相手の守備に対して様々なアプローチを取ることができます。
選手の柔軟な動き:
ウイングバックやミッドフィルダーが自由に動くことで、攻撃のバリエーションが豊富になります。選手の動きが多彩であるため、相手の守備が対応しにくくなります。
守備のバランス
速やかな守備への切り替え:
ウイングバックが攻撃的なため、ボールを奪われた際に、より前線(相手の守備陣)に多くの人数でボールを奪い返しに行けます。これにより、攻撃時にリスクを取っても、速やかに守備に切り替えることができます。
中央の堅固な守備:
3人のディフェンダーが中央を固めることで、相手の中央突破を防ぐことができます。これにより、守備の安定感が高まります。
攻撃的3バックのデメリット
「攻撃的3バック」には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。このフォーメーションを効果的に活用するためには、これらのデメリットを理解し、適切に対処することが重要です。ここでは、攻撃的3バックの主なデメリットについて詳しく見ていきましょう。
守備の脆弱性
サイドの守備の弱点:
ウイングバックが攻撃に参加することで、サイドの守備が手薄になることがあります。これにより、相手がサイドからの攻撃を仕掛けやすくなり、クロスやサイドからの突破に対して脆弱になります。
守備人数の不足:
3人のディフェンダーで守るため、相手の攻撃に対して守備人数が不足することがあります。特に、相手が多くの選手を前線に配置した場合、数的劣位に陥る可能性があります。
相手のカウンターアタックに対するリスク
攻撃から守備への切り替えの遅れ:
攻撃的3バックは攻撃時に多くの選手が前線に上がるため、ボールを失った際の守備への切り替えが遅れることがあります。これにより、相手のカウンターアタックに対して脆弱になります。
スペースの管理の難しさ:
ウイングバックが高い位置にいる場合、中盤やディフェンスラインの後ろに広いスペースが生じることがあります。このスペースを相手に利用されると、素早いカウンターアタックを受けるリスクが高まります。
フォーメーションの調整難易度
選手の適応力が必要:
「攻撃的3バック」を成功させるためには、選手がこのフォーメーションに適応し、役割を理解している必要があります。特にウイングバックは攻守両面で高度なプレーが求められるため、適切な選手の配置が重要です。
コミュニケーションと連携:
選手間の連携やコミュニケーションが非常に重要です。ディフェンダー、ミッドフィルダー、ウイングバックの連携がうまくいかないと、守備や攻撃に不具合が生じる可能性があります。
コンディションとフィットネス
高い運動量の要求:
ウイングバックやミッドフィルダーには高い運動量が求められます。選手が疲労すると、攻守のバランスが崩れやすくなり、フォーメーションの効果が低下する可能性があります。
選手の体調管理:
高い運動量が要求されるため、選手の体調管理が重要です。怪我や疲労が蓄積すると、選手のパフォーマンスが低下し、フォーメーションのデメリットが顕著になる可能性があります。
攻撃的3バックの成功事例
「攻撃的3バック」は、多くのクラブチームや代表チームで成功を収めています。ここでは、具体的な事例をいくつか紹介し、このフォーメーションの実際の運用方法や成功の要因について見ていきましょう。
チェルシー(イングランド)
事例:
チェルシーは、アントニオ・コンテ監督の下で「攻撃的3バック」を採用し、2016-2017シーズンのプレミアリーグを制覇しました。コンテは、3-4-3(3-4-2-1)フォーメーションを使い、攻撃と守備のバランスを巧みに取ることに成功しました。
運用方法:
ウイングバックにはマルコス・アロンソとヴィクター・モーゼスを配置し、サイドからの攻撃を強化しました。センターバックの3人は守備の安定を保ちつつ、ボールをつないで攻撃に参加しました。中盤のエンゴロ・カンテとネマニャ・マティッチがボールを支配し、前線のエデン・アザール、ディエゴ・コスタ、ペドロが攻撃を展開しました。
成功の要因:
選手たちの高い戦術理解と適応力が大きな要因でした。特にウイングバックの役割を担ったアロンソとモーゼスの活躍が光りました。また、守備の堅さとカウンターアタックの鋭さも成功に寄与しました。
アタランタ(イタリア)
事例:
アタランタは、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の下で攻撃的3バックを採用し、イタリア・セリエAで成功を収めています。アタランタは、攻撃的なプレースタイルと多彩な攻撃パターンで知られています。
運用方法:
アタランタの3-4-1-2フォーメーションでは、ウイングバックが非常に攻撃的に動きます。ロビン・ゴセンスやハンス・ハテブール(23-24シーズンではザッパコスタやルッジェーリ)がサイドからの攻撃を担い、中盤のフロイラーやデ・ルーン(23-24シーズンでは、コープマイナースやエデルソン)がボールを支配します。
成功の要因:
高い運動量と選手間の連携が成功の鍵です。攻守の切り替えが速く、相手の守備陣を崩す多彩な攻撃パターンが特徴です。また、ガスペリーニ監督の戦術理解と選手たちの適応力が高いことも要因です。
結論
この記事では、サッカーの戦術である「攻撃的3バック」について、初心者向けにわかりやすく解説してきました。攻撃的3バックは、ディフェンダーが3人配置され、ウイングバックが攻守両面で活躍するフォーメーションです。攻撃力の強化、中盤の支配力、幅広い攻撃オプションなど、多くのメリットを持っています。
一方で、守備の脆弱性やカウンターアタックに対するリスク、選手の適応力や体調管理の難しさといったデメリットも存在します。これらのデメリットを理解し、適切に対処することで、このフォーメーションを効果的に活用することができます。
チェルシーやアタランタなど、多くの成功事例を通じて、攻撃的3バックの魅力とその効果を具体的に見てきました。これらのチームの試合を観ることで、戦術の理解を深めることができます。
初心者へのメッセージ
サッカーの戦術を理解することは、試合を観る楽しさを大きく広げます。攻撃的3バックのような戦術を知ることで、チームのプレースタイルや選手の動きがより鮮明に見えてくるでしょう。ぜひ、実際の試合を観ながら、この戦術がどのように使われているかをチェックしてみてください。
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